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イメージセンサー製造を支える異物管理

スマートフォンやデジタルカメラ、自動車の先進運転支援システム(ADAS)、監視カメラ、医療機器など、私たちの身の回りでは数多くの「イメージセンサー」が活躍しています。近年はAI技術の発展や自動運転技術の進歩に伴い、これまで以上に高精細で高感度なイメージセンサーが求められるようになりました。

こうした高性能なイメージセンサーを安定して製造するためには、微細加工技術だけではなく、製造環境そのものを高いレベルで維持することが欠かせません。その中でも特に重要なテーマが「異物管理」です。

半導体製造ではナノメートルレベルの微細加工が注目されることが多いため、「異物もナノメートル単位でなければ問題にならない」と思われることがあります。しかし実際のイメージセンサー製造では、数µmから数十µm程度の粒子も品質や歩留まりに大きな影響を与えます。マイクロメートルレベルの粒子の影響は、完成した製品において画像不良や性能低下として現れることがあるためです。

なぜ粒子が問題になるのでしょうか

イメージセンサーは、入射した光を電気信号へ変換する非常に精密なデバイスです。その性能を最大限に引き出すためには、受光部だけでなく、カラーフィルターやマイクロレンズ、保護膜、ガラスカバーなどの光学部材も高い精度で形成されなければなりません。

これらの部材の表面に粒子が付着すると、光の透過や反射、屈折がわずかに変化します。人の目ではほとんど認識できない粒子でも、光学系を通して画像になると、その影響は無視できません。 例えば、画像中の黒点や白点、局所的な明るさの変化、コントラストの低下などが発生する場合があります。近年の高画素センサーでは一つひとつの画素が非常に小さいため、比較的小さな粒子でも複数の画素へ影響を及ぼすことがあります。そのため、目視で検出困難な大きさであっても、製品品質に対する影響は決して小さくありません。

異物は製造工程のあらゆる場所で発生する

異物は工場の外部から持ち込まれる塵埃だけでなく、製造工程の内部でも発生します。

例えば、ウェーハを搬送するロボットの摺動部、ベアリングやリニアガイド、シール材や樹脂部品などでは、長時間の使用によって微細な摩耗粉が発生します。また、配管やバルブ、フィルターなどの設備部品も粒子の発生源になることがあります。 さらに、クリーンルーム内であっても、人や設備が動くことで微粒子は発生します。クリーンルームは外部から粒子が侵入しにくい環境ではありますが、粒子が全く存在しない空間ではありません。そのため、設備の設計や運用方法までを含めた総合的な管理が求められます。

静電気も異物付着の大きな要因

粒子は発生するだけでは問題になりません。製品に付着して初めて品質へ影響を及ぼします。

その付着を促進する要因の一つが静電気です。

イメージセンサーの製造では、ガラスや樹脂などの絶縁材料を扱う工程が数多く存在します。これらの材料は摩擦などによって帯電しやすく、周囲に存在する微粒子を引き寄せる原因になります。

一度粒子が付着すると、その後の工程で取り除くことは容易ではありません。そのため、帯電を抑える材料の採用や湿度管理、搬送方法の工夫など、静電気を発生させにくい環境づくりも異物管理の重要な要素となっています。

後工程ほど異物管理の重要性は高まる

製造初期では、洗浄工程などによって粒子を除去できる機会があります。しかし、工程が進むにつれて異物を取り除くことは難しくなります。

特にカラーフィルターやマイクロレンズが形成された後、ガラス貼り合わせや封止が行われる工程では、粒子が製品内部へ閉じ込められる可能性があります。

この段階で異物が残ってしまうと、完成後に除去することはほぼ不可能です。そのため、後工程ほど「異物を持ち込まない」という考え方が重要になります。

また、完成に近づくほど製品一つあたりの付加価値は高くなるため、不良が発生した際の損失も大きくなります。異物管理は品質だけでなく、生産性やコストの面からも非常に重要なテーマなのです。

高画素化が異物管理をさらに難しくする

近年のイメージセンサーは高画素化だけでなく、積層構造や裏面照射構造など、より高度な技術が採用されています。

工程数が増えれば、その分だけ異物が発生・付着する機会も増えます。また、光学性能に対する要求も年々厳しくなっており、これまで問題にならなかったような粒子でも品質へ影響するケースが増えています。

さらに、自動車や医療分野では高い信頼性が求められるため、一時的な画質低下やわずかな欠陥も許容されにくくなっています。そのため、製造設備、使用する材料、搬送方法、製造環境など、あらゆる要素について異物を発生させにくい設計が求められています。

対策の基本は「発生させない」「運ばない」「付着させない」

イメージセンサー製造における異物対策の基本的な考え方を三つに分けて整理します。

一つ目は、異物そのものを発生させないことです。設備の構造を見直したり、摩耗しにくい部材を採用したりすることで、粒子の発生源そのものを減らします。

二つ目は、発生した粒子を製品付近まで運ばないことです。クリーンルーム内の気流や搬送経路を適切に設計し、粒子が重要工程へ到達しないよう工夫します。

三つ目は、粒子を製品へ付着させないことです。静電気対策や環境管理を組み合わせることで、異物が製品表面へ付着するリスクを低減できます。 これらはそれぞれ独立した対策ではなく、工程全体を通して連携させることで初めて高い効果を発揮します。

まとめ

イメージセンサー製造では、マイクロメートルレベルの小さな粒子であっても、画像品質や歩留まりに大きな影響を及ぼす可能性があります。高画素化や高性能化が進む現在では、異物を「発生させない」「運ばない」「付着させない」という基本を徹底し、設備・材料・環境・工程を一体として管理することがますます重要になっています。

私たちが日常的に目にしている鮮明な映像や写真は、こうした目には見えない異物を制御する技術によって支えられています。今後もイメージセンサーの進化が続くなかで、異物管理は品質と信頼性を支える基盤技術として、その重要性をさらに高めていくでしょう。

インテクノス・ジャパンは、異物を付着させない工程設計と運用管理への取組みをお支えしています。品質・歩留まりへの影響などでお困り事がおありの際は、こちらのフォームよりお気軽にご相談ください。

高木 篤 / コンサルティングTOPチーム ― TOBIRA ―

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