技術情報
2025.12.19
「パーティクル」という言葉は、製造業やエンジニアリング分野を中心に広く使われています。直訳すると「粒子」や「微粒子」を意味しますが、その影響範囲は想像以上に広く、製品品質から設備の寿命、さらにはヒトの健康にまで関わっています。
製造業においてパーティクルは、多くの場合「管理すべき存在」として扱われます。空気中や設備表面、材料中に存在する微細な粒子は、製品の性能や信頼性に大きな影響を与えるためです。
品質管理においては一般に、パーティクルは「目に見えないが、欠陥や不良の原因となる要素」と位置づけられます。特に精密部品や電子部品、光学関連製品では、わずかなパーティクルの付着が機能不良や寿命低下につながることがあります。 そのため、製造現場では粒子数の測定、発生源の特定、環境の清浄度管理などが重要になります。パーティクルを正しく把握し、抑制することは、品質の安定化だけでなく、歩留まり改善やコスト削減にも直結する場合があります。
機械潤滑の分野でも、パーティクルは極めて重要な管理指標です。設備の潤滑油や作動油の中には、摩耗粉や外部から侵入した微粒子が混入することがありますが、これらのパーティクルは、さらなる摩耗を引き起こし、設備の故障や寿命短縮の原因となります。
海外の潤滑技術においてはかつてより、「潤滑油中のパーティクルは、設備状態を映し出す情報源」とされてきました。粒子の大きさ、個数、性質を分析することで、摩耗の進行状況や異常の兆候を早期に把握できるのです。
つまり、潤滑管理におけるパーティクルは、単なる汚染物質ではなく、設備の健康状態を示す“サイン”でもあります。適切なろ過や清浄度管理を行うことで、設備トラブルの予防保全につなげることが可能になります。
パーティクルは、ヒトの健康とも深く関わっています。空気中に浮遊する微細な粒子は、呼吸を通じて体内に取り込まれる可能性があり、健康リスクとして注目されています。
海外の健康・環境分野では、微小なパーティクルほど人体に影響を与えやすいとされています。粒径が小さいほど肺の奥深くまで到達し、体内に留まりやすくなるためです。そのため、作業環境や生活環境におけるパーティクル管理は、労働安全や公衆衛生の観点からも重要視されています。
製造現場や工場では、設備や製品だけでなく、作業者の健康を守るためにもパーティクル対策が欠かせません。換気、集じん、清掃といった基本的な対策が、長期的な健康リスク低減につながるとされています。
製造、潤滑、健康といった一見異なる分野に共通しているのは、「パーティクルを数値化し、管理する」という考え方です。海外の管理技術では、パーティクルを単に排除すべき存在とするのではなく、「状態を知るための指標」として捉える姿勢が強調されます。
粒子の存在や挙動を把握することで、品質の異常、設備の劣化、環境リスクなどを早期に察知することが可能になります。パーティクルは小さく目立たない存在ですが、その影響は決して小さくありません。
パーティクルとは、製造・品質管理、潤滑管理、そしてヒトの健康といった幅広い分野に影響を与える重要な要素です。見えないからこそ軽視されがちですが、適切に理解し、管理することで大きな価値を生み出します。
パーティクルに注目することは、製品品質の向上、設備の長寿命化、そして安全で健康的な環境づくりにつながります。今後もさまざまな分野で、この「見えない粒子」の重要性は高まり続けていくでしょう。
インテクノス・ジャパンは、パーティクルを含む異物や汚染に関する課題へのお取組みを、様々な製品・サービスでお支えしています。お困り事などがあった際には、お気軽にご相談下さいませ。
高木 篤 / コンサルティングTOPチーム ― TOBIRA ―


