技術情報
2025.12.12
半導体パッケージや電子基板の製造では、はんだ付け後に残るフラックス残渣を除去するため、洗浄工程が設けられることがあります。
一般的なフラックス洗浄工程は、
洗浄 → リンス → 乾燥
の三段階で構成されます。
最初の洗浄工程でフラックス残渣を溶解・軟化・分散し、リンス工程で洗浄剤や剥離した汚れを製品表面から排出し、最後に乾燥させます。
ここで注目したいのが、フラックス残渣と同時に存在する不溶性パーティクルです。電子基板や半導体パッケージの表面には、粉塵、樹脂片、金属粒子、はんだボールなど、洗浄液に溶けないさまざまな異物が存在する可能性があります。
フラックス洗浄は本来、こうしたパーティクルを主対象とした工程ではありません。しかし、適切な条件で洗浄することで、フラックス残渣の除去と同時にパーティクルを剥離・排出できる可能性があります。
一方で、フラックス残渣とパーティクルでは除去されるメカニズムが異なります。フラックス残渣は主に洗浄剤との化学的な作用によって除去されますが、不溶性パーティクルそのものは洗浄剤に溶けません。そのため、パーティクル汚染まで視野に入れる場合は、「汚れを溶かせるか」だけでなく、「粒子を剥がし、工程外へ運び出せるか」という視点が重要になります。
1) 機械的エネルギー
不溶性パーティクルを除去するには、表面に付着した粒子を剥離するための物理的な力が必要です。
代表的なものとして、スプレー、シャワー、液流、撹拌、超音波などがあります。
ただし、単純に洗浄圧を強くすればよいわけではありません。
部品の裏側や狭い隙間、部品密集部では液流が十分に届かず、パーティクルが残留する場合があります。
そのため、洗浄圧だけでなく、ノズルの配置や角度、製品の姿勢、洗浄液の到達性などを含めて考える必要があります。
2) フラックス残渣の軟化・溶解設計
パーティクルが基板表面に単純に付着しているだけであれば、液流によって比較的容易に除去できることがあります。
しかし実際には、パーティクルがフラックス残渣の中に取り込まれたり、粘着性のある残渣によって表面へ固定されていたりする場合があります。
この状態では、機械的な力だけでは十分に除去できません。
まず周囲のフラックス残渣を軟化・溶解し、粒子を表面から解放することが必要になります。
そのため、洗浄剤の種類や濃度、液温、洗浄時間、フラックスの種類や熱履歴なども、パーティクル除去性能に影響します。
3) リンスの洗浄性と濾過(再沈着の防止)
洗浄によって粒子を剥離できても、その粒子を工程外へ排出できなければ、再び製品表面へ付着する可能性があります。
いわゆるパーティクルの再沈着です。
そのため、
「どれだけ落とせるか」だけでなく、「落とした汚れを戻さないか」
という視点も重要です。
リンス流量やリンス液の清浄度、洗浄液の循環方式、フィルタの管理状態などによって、再沈着のしやすさは変わります。
特に循環式の洗浄装置では、稼働時間とともに洗浄液中へ異物が蓄積するため、洗浄性能だけでなく液やフィルタの管理も重要になります。
パーティクル汚染を考える場合、フラックス残渣の除去状態だけを確認しても十分とは限りません。
イオン性残渣が十分に除去されていても、不溶性パーティクルが表面に残っている可能性があるためです。そのため、洗浄前後の表面を観察し、
などを比較することで、洗浄工程の効果をより具体的に確認できます。
また、生産開始時は良好でも、時間の経過とともにパーティクルが増加する場合には、洗浄液やリンス液、フィルタ、装置内部の汚染などを確認する必要があります。
フラックス洗浄工程におけるパーティクル除去では、
1. 機械的エネルギーによって粒子を剥がす
2. フラックス残渣を軟化・溶解し、粒子を解放する
3. リンスと濾過によって粒子を排出し、再沈着を防ぐ
という3つの要素が重要です。
つまり、
「剥がす → 解放する → 運び出す → 戻さない」
という一連の流れを成立させることが、安定したパーティクル除去につながります。
また、洗浄工程を評価する際には、フラックス残渣の除去状態だけでなく、実際に製品表面へ残っているパーティクルも確認することが重要です。
洗浄前後のパーティクル数や粒径、分布を把握することで、洗浄条件の改善や再汚染の原因特定にもつなげることができます。
インテクノス・ジャパンは、半導体パッケージや電子基板の汚染対策、並びに洗浄工程管理などの技術的なサポートもおこなっております。技術検討でお困りの際には、いつでもこちらからお気軽にご相談下さい。
高木 篤 / コンサルティングTOPチーム ― TOBIRA ―


