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減速機は「油交換」だけでは守れない

―最新版ギヤボックスの汚染度・摩耗粉管理―

減速機(ギヤボックス)の保全というと、振動・温度・異音の監視を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、内部の歯車や軸受を直接潤滑している「油」には、設備状態を示す重要な情報が含まれています。

海外の保全ガイドや研究では、潤滑油の清浄度、混入水分、摩耗粉を継続的に監視し、異常の兆候を早期に捉えるコンディションベースの保全が重要視されています。実際、摩耗粉の濃度や状態を監視することでギヤボックスの異常や故障兆候を捉える研究も数多く報告されています。

汚染粒子は減速機寿命を左右する

EPRI(米国電力研究所)の風力発電設備向け潤滑保全ガイドでは、潤滑油は保管時、給油・移送時、運転中のすべての段階で清浄に保つことが重要とされ、汚染は機械寿命を短くする主要因の一つとされています。

そのため、運転中のろ過、フィルタの定期点検、新油交換時の清浄な移送など、「汚染を入れない」「入った汚染を取り除く」という考え方が基本になります。

清浄度を数値化する代表的な方法がISO 4406です。油中の4µm、6µm、14µm以上の粒子数を測定し、3桁のコードで油の汚染状態を表します。

海外資料では、風力発電用ギヤボックスの例として、

  • 新油充填前  :16/14/11
  • 工場負荷試験後:17/15/12
  • 運転中    :18/16/13

という清浄度管理例が紹介されています。

またChevronが複数の産業用ギヤボックスメーカーの情報を整理した資料を見ると、18/16/13以下を一つの目安とする例や、より厳しい17/15/12を目標とする例もあります。

一方でメーカーごとの差も大きいため、一律の値を設定するのではなく、減速機メーカーの推奨値、負荷、軸受、油粘度、ろ過方式などに応じて目標清浄度を決めることが重要です。

「新油だからきれい」とは限らない

注意したいのが、新しい油を入れれば油管理は完了、という考え方です。

油は保管容器、給油器具、ホース、開放された給油口などから粒子や水分が混入する可能性があります。そのため海外の保全指針では、新油も必要に応じて給油前にろ過し、ブリーザやシールからの外部異物の侵入を抑えることが推奨されています。

さらに管理すべきなのは固形粒子だけではありません。水分が混入すると油の負荷支持能力が低下し、腐食や酸化を促進する可能性があります。

ギヤボックス油の水分管理についても海外では多く研究されており、粒子、水分、粘度、酸価、摩耗金属などを組み合わせて油の状態を見ることが重要です。 つまり、減速機油は単に「何年使用したか」で交換するのではなく、油の状態がどう変化しているかをトレンド管理することがポイントです。

実際の現場ではどう管理するのか?

最初に行いたいのは、正常時の基準値づくりです。

新油または正常運転時の油についてISO 4406の清浄度を測定し、その後もできるだけ同じ採油位置・同じ運転条件で定期測定します。

重要なのは1回の測定値だけではなく、

「前回より汚染度が上昇していないか」
「フィルタ交換後に改善したか」
「特定の時期だけ粒子数が急増していないか」

という変化を見ることです。

こうした巡回・定期管理に適しているのが、オイル・パーティクルカウンタLCM30です。

ISO 4406に対応し、4µm、6µm、14µm以上を含む粒子数を約90秒で測定できます。また鉱物油では相対水分も確認できます。複数の減速機を定期的に測定し、設備ごとの「通常値」を作るところから始めることができます。

一方、停止すると生産への影響が大きい重要減速機や、短時間で状態が変化する設備では、定期採油だけでは変化を見逃す可能性があります。

このような設備ではPDS.TMをオンラインで設置し、ISO 4406の変化を連続的に監視する方法が有効です。

PDS.TMは潤滑油やギヤオイルの汚染度監視に対応しており、「現在どれだけ汚れているか」だけでなく、いつ汚染状態が変化したのかを把握しやすくなります。

清浄度管理から「摩耗の監視」へ

さらに一歩進んだ予知保全では、「油が汚れている」だけではなく、減速機内部で摩耗が始まっているのかを見る必要があります。

海外研究でも、油中の摩耗粉濃度だけでなく、粒子の大きさや形状などがギヤボックスの摩耗状態を評価する重要な情報になることが報告されています。

OilWearは4µm以上の主に鉄摩耗粒子をオンラインで監視し、20µm以上では摩耗粉の形状分類や気泡判別を行います。単なる油の清浄度監視から、内部で発生する異常摩耗の兆候を捉える管理へとステップアップできます。

「定期交換」から「状態を見て管理する」へ

減速機の油管理で重要なのは、

汚染を入れない → 汚染を除去する → 清浄度を測る → 水分や油性状を確認する → 摩耗粉の変化を監視する

という流れを作ることです。

まずはLCM30による定期測定から始め、重要設備はPDS.TMによるオンライン清浄度監視へ。

そして、故障につながる摩耗そのものを早期に捉えたい設備にはOilWearによる摩耗粉監視を組み合わせる。

これにより減速機保全を、「壊れてから調べる」から「油の変化から壊れる前に気づく」保全へ移行できます。

インテクノス・ジャパンでは、減速機の使用条件、油種、配管、採油位置などに応じて、定期測定からオンライン監視まで最適な油管理方法をご提案しています。

お困り事がございました際は、こちらからお気軽にご相談ください。

FMSビジネスユニット 山本 瞬一

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