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ISO 16232(VDA 19.1)って何?

ISO 16232(VDA 19.1)は、自動車の部品・システムに付着/残留して機能に影響し得る粒子状コンタミ(異物)について、一定の手順で抽出→捕集→解析(報告)をおこなうための国際規格です。要するに「どれくらい汚れているか」について、誰が測っても同様の結論を導き出すための“測り方と言い方”のルールです。

なぜいま“粒子”が問題になるのか

近年の部品は小型化・高精度化が進み、流路や摺動部、バルブ、ポンプ、制御系などで微小な粒子が詰まり・傷・リーク・作動不良の引き金になりやすくなっています。外観がきれいでも内部に粒子が残っていれば、初期不良や寿命低下につながります。そこで、洗浄や組立の良し悪しを“結果としての粒子”で見える化するニーズが強くなりました。

規格のざっくり全体像(主にやることは3つ)

ISO 16232の考え方はシンプルで、流れは大きく3ステップです。

  • 抽出: 部品の表面/内部から粒子を洗い出す。
  • 捕集: 洗い出した液をフィルター(メンブレン)でろ過し、粒子を捕まえる。
  • 分析: メンブレン上の粒子を質量・個数・サイズ・種類などで評価し、レポートする。

ここで重要なのは、分析機器よりも前工程(抽出・捕集)の出来が結果の信頼性を左右する点です。分析だけ頑張っても、抽出が弱ければ「本当は汚れているのに少なく見える」し、逆に捕集で周囲からの再汚染が入れば「本当はきれいなのに汚く見える」からです。

抽出プロセスの肝: どうやって粒子を“はがす”か

抽出は、対象部品やシステムの機能リスクに合わせて、たとえば次のような方法を組み合わせます(規格では、適用・記録・妥当性の考え方が整理されています)。

  • すすぎ(リンス)/圧力リンス: 表面や流路に洗浄液を当てて粒子を洗い流す。
  • 超音波などのアジテーション: 付着力が強い粒子を剥離しやすくする。
  • 循環/フラッシング: 流体系の部品では、流れを作って内部の粒子を回収する。

実務的には、「どの程度の抽出を“十分”とみなすか」を決める必要があります。ここで出てくるのが、後述する回収率(リカバリ)やブランク(空試験)の管理です。測定値そのものだけでなく、測定が成立していると証明できることが重要になります。

捕集プロセス: メンブレンに集めて“見える形”へ

抽出液はメンブレンフィルターでろ過し、粒子を面上に捕集します。ここも地味に大事で、フィルターの扱い(清浄な器具、取り扱い時の落下塵、乾燥・保管条件など)を雑にすると簡単に結果が揺れてしまいます。

分析プロセス: 質量だけでなく「個数×サイズ」が効いてくる

このプロセスにおける評価方法は複数あります。代表的には次の2系統です。

  • 重量法: フィルター上の残渣質量で評価(シンプルだが“危険な大粒子が少数存在”などを見逃しやすい、過去の主流)
  • 粒子計数/粒径評価: 粒子の個数とサイズ分布を把握(詰まり/摺動傷などのリスクと結びつけやすい、現在とこれからの主流)

さらに、必要に応じて粒子の材質同定(例:金属か非金属か等)に進める考え方も、規格側で整理されています。

報告の際の“言い方”: CCC(清浄度コード)という共通言語

現場でよく出てくるのがCCC(Component Cleanliness Code)です。これは「どの基準(面積・体積・部品1個あたり)で」「どの粒径クラスに」「どの程度の粒子があるか」を、コードで表現するものです。

CCCの良い点は、サプライチェーンで仕様を伝えるときに、文章で長々説明せずとも“同じフォーマットで要求と実測を並べられる”ことです。一方で、コードだけが独り歩きすると「測り方の妥当性(抽出・ブランク・回収率)が置き去り」になりがちなので、報告書には測定条件と根拠をきちんと残すことが重要です。

VDA 19.1との関係: 実務の手引きと国際規格

ISO 16232は国際規格としての枠組みを提供し、関連する業界標準側(VDA 19.1)では、より実務寄りの推奨や記載が充実しています。実際、VDA 19.1はドイツ発祥であるものの、技術的清浄度の検査・管理を扱う文書として英語版のガイドも公開されており、検査の考え方や注意点を追いやすいです。

現場目線のつまずきポイント

  • ブランク(空試験)を軽視しない: 洗浄液/器具/環境由来の粒子が混ざると、測定値は簡単に増えます。まず“測定系がどれだけ汚いか”を把握するのが前提です。
  • 回収率の考え方が要: 抽出が弱いと少なく出ます。抽出条件は規格に基づいて「部品に対して十分に粒子を回収できている」根拠を持つ必要があります。
  • 重量法だけでは語れないことがある: 質量が小さくても、大きい粒子や鋭い金属粉が混ざればリスクは上がります。目的に応じて“個数×サイズ”へ拡張するのが自然です。
  • 報告書は「結果」より「条件」が資産: 後で工程改善につなげるには、抽出条件/ろ過条件/解析条件が再現できる形で残っていることが重要です。

まとめ

ISO 16232は、部品・システムの粒子汚染を「抽出→捕集→分析(報告)」という一連の流れで整流化し、サプライチェーンで同じ言葉・同じ型で会話するための土台を提供してくれます。ポイントは、測定器の性能よりもまず抽出手法とブランク管理で“測定の土俵”を作ること、そして粒子の個数・サイズ分布(CCCコード)で機能リスクに接続することです。規格を“検査のための規格”として読むだけでなく、“工程を良くするための共通言語”として使うと、効き方が大きく変わってくるはずです。

インテクノスのコンサルティングは、ISO 16232/VDA 19.1をはじめとした自動車業界の清浄度規格への対応を支えています。課題感やお困り事がおありの際は、お気軽にご相談下さい。

高木 篤 / コンサルティングTOPチーム ― TOBIRA ―

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