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バイアルの中に“異物”…どこから来るのか?その管理手法は?(VDI 2083 Part 21の応用)

注射剤のバイアルを扱う現場で、最も神経を使うトラブルの一つが異物混入(粒子汚染)です。たった一つの小さな粒子でも、患者の健康リスクを生じる場合があり、製品回収・出荷停止につながる重大な問題になり得ます。

では、この「異物」はいったいどこから来るのでしょうか、そして、そのリスクはどのように管理すれば良いのでしょうか・・・

「異物」とひとことで言っても種類によってリスクは異なる

医薬品分野では異物は大きく次の2つに分類されます。

・可視異物:目視で確認できるレベルの粒子

・サブビジブル粒子(不溶性微粒子):見えないが測定で検出される微粒子

特に近年はバイオ医薬品が増え、微粒子でも製剤安定性に影響するため、「見えない異物」への要求も厳しくなっています。

異物問題の発生源は4つに整理できる

異物付着の要因は次の4系統に分けて考えることができます。

・包材由来(ガラス、ゴム、包装)

・設備/工程由来(充填ライン、洗浄工程)

・環境/人由来(作業者、空調)

・製剤由来(析出、凝集、相互作用)

つまり「異物が見つかったら洗浄すればいい」という単純な話ではなく、発生メカニズムを系統立てて管理する必要があります。

ガラス由来で最も厄介なのが“デラミネーション”

ガラスバイアルでよく議論される異物が、デラミネーション(ガラスフレーク剥離)です。

これは単なる「ガラスが割れる」現象ではなく、

・成形加工時の内面不均一

・滅菌条件(高温/蒸気)

・製剤pHや緩衝剤成分

・長期保存条件

などが重なり、バイアル内面が変質→層状に剥離するという経路をもちます。

ここで重要なのは、「Type Iガラスなら安心」という単純な分類では不十分で、容器と薬液の組み合わせによって評価が必要という点です。

ゴム栓由来の“欠け”や繊維も見逃せない

もう一つの主要な原因が以下のような異物を伴うエラストマー部材です。

・ゴム表面の微粒子

・繊維付着

・穿刺時の欠け(コアリング)

・摩擦による粒子発生

これらに対しては、

・表面バリアコーティング

・クリーン包装強化

・粒子仕様管理と工程自動化

を組み合わせて対策する流れが主流です。

見えない敵:シリコーン油滴や金属由来粒子

さらに難しいのが、

・潤滑剤由来のシリコーン油滴

・成形工程で残る金属(タングステン等)

・タンパク質凝集体との識別困難

といった“見えにくい異物”です。

特にバイオ医薬品では粒子の正体が、「異物」なのか「凝集体」なのかが重要になります。

ここで登場するVDI 2083 Part 21の考え方

異物管理において昨今注目されている指針が、VDI 2083 Part 21(Blatt 21)です。

これは医療機器製造工程における清浄度評価のガイドラインですが、

・粒子汚染をリスクベースで特定する

・許容基準(Acceptance Criteria)を設定する

・検証方法(試験法)を定める

という枠組みを提供しています。

つまりVDI 2083 Part 21は、「異物は検査ではじく」だけではなく、「どこで、どんな粒子がリスクかを工程設計で管理する」という思想を明確にしています。

医療機器ではなく医薬品包装材料に区分されるバイアルに対しても、この視点は非常に親和性が高く、

・包材供給段階からの汚染管理

・工程ごとの粒子侵入経路の洗い出し

・CCS(汚染管理戦略)的な前倒し管理

へとつながります。

まとめ:異物対策の本質は“後追い”ではなく“源流管理”

海外の先進的な汚染制御の考え方やVDIの枠組みから見えてくるのは、

・異物問題は単発の検査強化では解決しない

・包材/工程/環境/製剤などの相互作用で発生する

・リスクベースで源流から管理することが重要

ということです。

異物管理は「現場の頑張り」だけでなく、工程設計や供給形態も含めた総合戦略の時代に入っています。

インテクノスは、異物に関するリスク管理の原則的な考え方から、生産活動に落とし込む際の実践的なサポートまでを含めた総合的な技術支援サービスを提供しています。異物で困り事がある、サービスの説明を聞いてみたいといった際には、お気兼ねなくご相談下さい。

高木 篤 / コンサルティングTOPチーム ― TOBIRA ―

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