技術情報
2026.01.09
クリーンルームの話をしていると、必ずと言っていいほど出てくるのが ISO 14644 です。「ISOクラスって何?」「分類ってどうやるの?」「監視は必要?」といった疑問の多くが、この規格のPart 1〜Part 3で整理できます。
本稿では、Part 1(分類)→ Part 2(監視)→ Part 3(試験方法)の流れで、クリーンルームの基本についてまとめます。
ISO 14644-1は、クリーンルームの清浄度を ISOクラス1〜9 で分類する規格です。
分類に使うのは「空気中の粒子数濃度」です。つまり、浮遊している粒子がどれだけ少ないかでクラスが決まります。
ポイントは次の3つです。
1) ISOクラスは「粒径別に上限がある」:
ISOクラスは、たとえば「0.5µm以上の浮遊粒子が1m³あたり何個まで」など、粒径ごとに許容される粒子数の上限を持っています。
クラスが小さいほど、許容される粒子数が厳しくなります。
2) “測り方”が重要(測定点数・サンプル量):
分類のルールは「このクラスだから測定点はこれだけ」といった形で、測定点数、サンプリング量、評価方法が定められています。
どんなに良いクリーンルームでも、測り方を間違うと正しくクラスを出せず、クラス認証や顧客監査では、この「測り方」も含めて見られることが多いです。
3) クラス表示だけで終わらない:
実務でよくある誤解が、「ISOクラスさえ決めればOK」という考え方です。 でも本当は、そのクラスを“維持できる仕組み”があるかが次のPart 2につながります。
ISO 14644-2は、Part 1の分類を満たす状態を維持できていることを示すための、監視(モニタリング)の最低要件を扱います。
ここで言う監視は「単に測定する」だけではなく、計画として設計されていることが重要です。
監視計画で押さえるべきこと:
・どこを測るか(測定場所の決め方)
・どの粒径を対象にするか(工程リスクに合わせる)
・どれくらいの頻度で測るか(連続監視/定期測定など)
・警報値/アクションの決め方(逸脱時にどう動くか)
・データをどう見て改善するか(トレンド管理)
つまり、Part 2は「結果としてクリーンを保てていた」ではなく、維持するための運用設計と証拠を作るための規格です。
ISO 14644-3は、クリーンルームや清浄エリアの性能を確認するための「試験方法」をまとめた規格です。
Part 1が「分類」、Part 2が「維持の監視」だとすると、Part 3はその間を支える「性能確認のためのテストメニュー集」と考えるとわかりやすいです。
試験は“粒子カウント”だけではない:
Part 3の試験には、例えば以下のようなテーマが含まれます。
・粒子濃度の測定(清浄度分類試験)
・気流の方向性/均一性(流れが乱れていないか)
・漏えい(フィルタや設備のリーク)
・回復時間(汚染イベント後にどれくらいで復帰するか)
・圧力差
・温湿度など
試験の価値は「問題を早期に見つけられる」こと:
クリーンルームは「作った時点でOK」ではなく、運用や保全の中で少しずつ性能が崩れていくことがあります。 Part 3の試験を定期的に回すことで、気流が偏っている、局所的に粒子が溜まる、フィルタの性能低下が始まっている、といった兆候を早めに拾えるようになります。
Part 1〜3のまとめ
最後に、Part 1〜3を一言でまとめると、以下のようになります。
Part 1:クリーンルームを粒子で分類する(クラスを決める)
Part 2:そのクラスを維持できていることを監視で示す(仕組み化する)
Part 3:性能を試験で確認し、客観的な裏付けを取る(検証する)
クリーンルーム管理は「クラスを取って終わり」ではなく、分類 → 維持 → 検証のループを回すことで“クリーンを作る”というより“クリーンを保つ”世界なのです。
しかし、このような国際規格に基づいて管理をおこなっているクリーンルームであっても、その中で実際の製造がおこなわれる際には、製品の汚染や異物付着が問題となるケースが非常に多く存在します。
インテクノスでは、そのような問題がなぜ起こるのか、どのようにして防ぐことができるのかを明らかにし、それを実現するプロセスまでを包括的にサポートします。クリーンルームの管理や異物対策でお困りの際には、お気軽にお声掛け下さい。
高木 篤 / コンサルティングTOPチーム ― TOBIRA ―


