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建設機械の油圧トラブル

油圧のトラブルって現場だと「突然動きが鈍い」「変な音がする」「油が減る」のように“症状”として先に出てきますよね。しかも油圧は機械の心臓部なので、放置すると一気に高額な修理になりがちです。今回は、建設機械でよく挙げられる故障パターンを整理してみます。

よくある症状(現場で最初に気づくサイン)

・ 動作が遅い/力が出ない(掘削が重い、旋回がもたつく)

・ ガタガタ/ジャダー(脈動)、動きが不安定

・ 異音(キャビテーション系の“ジャリジャリ”/“ガリガリ”、吸込み不足の唸りなど)

・ 油温上昇(触ると熱い、温度警告、夏場に顕著)

・ 外漏れ/内漏れ(床に油、または動作が弱いのに外には漏れていない)

・ 応答遅れ(レバー操作に対しワンテンポ遅れる)

これらはトラブルの「典型的な入口」として挙げられます。

原因の大枠は“油・空気・熱・圧”で考える

油圧故障の原因は様々あるように思えますが、整理するとだいたい次の4系統に集約できます。

① 油の汚れ(コンタミ)がじわじわ壊す

油圧不調の根っこには多くの場合、粒子汚染(コンタミ)があります。油中の粒子が増えると、ポンプやバルブの摺動部が摩耗し、内部漏れが増え、圧が上がらず、発熱も増え…という悪循環に陥ります。汚染の管理ではISO 4406 の清浄度コードがよく使われ、粒子数を等級管理して「許容範囲に入っているか」を見ます。ポータブル計測やオンライン監視で把握するのが一般的です。

現場での粒子増加の原因は、以下のようなものです。

・ 作動油補給時の混入

・ フィルタの詰まりや交換遅れ

・ 新品配管/アタッチメント交換後のフラッシング不足

・ タンクの結露水分や外気粉じん

② 空気混入・吸込み不足 → キャビテーション

「音が変」「動きがガタつく」「泡立つ」系は、空気混入(エアレーション)や吸込み不足を疑います。吸込み側の漏れ、油面低下、ストレーナ詰まり、粘度が高すぎる(寒冷時)などが重なると、ポンプ入口で圧が下がりキャビテーションが起きやすくなります。キャビテーションは表面損傷や性能低下を招き、長引くとポンプを傷めます。

③ 熱(油温上昇)は“結果”でもあり“原因”でもある

油温が高い状態が続くと、粘度低下→内部漏れ増加→さらに発熱、という循環に入ります。加えてシールやホース寿命にも効いてきます。原因としては、内部漏れ増加(摩耗)、リリーフの逃がしっぱなし、冷却不足、フィルタ目詰まりによる圧損増大などが定番です。

④ 圧の異常(スパイク、設定不良、局所的な圧力増幅)

油圧回路内で条件が揃うと局所的に圧が増幅し、シール部に過大な負荷がかかることがあります(見た目は「急に漏れ出した」に見えることも)。流量制御の絞り方や負荷条件で起きるため、部品交換だけだと再発することがあります。また、ポンプ故障モードとしても「圧力スパイクによる疲労」「入口制限(吸込み不足)」「ケース側の過圧」などが代表例として挙げられます。

切り分けのコツ:いきなり分解より“流れ”を作る

トラブルシュートのコツは、「闇雲に部品交換しない」ことです。以下のようなフローで進めるのが望ましいと言われます。

① 安全確保(作動油は高圧/高温、噴出リスクあり)

② 外観: 油量、外漏れ、ホース潰れ、フィルタ差圧の兆候、タンク泡立ち

③ 音と温度: 異音(吸込み系か?)、油温上昇(内部漏れか?冷却か?)

④ 圧の確認: リリーフ到達、負荷時の圧の立ち上がり、保持性(内漏れ推定)

⑤ 清浄度/水分: 可能ならISOコード等で“油の状態”を数値化

⑥ 原因に合わせた部位へ: ポンプ、バルブ、シリンダ、配管の順に絞る

ここで大事なのは、症状 → 物理現象(空気・熱・汚れ・圧)→ 部位の順に落とすことです。

予防の基本は“清浄度の維持”と“吸込み系の健全化”

最後に、故障を減らすための実務ポイントをまとめます。

・ 補給油の扱い(容器の清浄さ、フィリングフィルタ、こぼれ/粉じん混入の防止)

・ フィルタ管理(目詰まり兆候、交換サイクル、取付時の清浄さ)

・ 回路介入後(ホース交換/アタッチメント交換後)は特に初期汚染に注意

・ 油面低下/吸込み側の漏れ/ストレーナ詰まりの早期発見(キャビテーション予防)

・ 油温の監視(“結果”に見えて、実は劣化の加速装置)

・ 清浄度の定期測定(ISOコードで状態を可視化)

インテクノス・ジャパンは、状態監視・汚染制御技術の経験豊富な専門員を有し、油圧システムの製造から保全までを支えています。トラブルでのお困り事や更なる効率化のご要望をお持ちの際は、お気兼ねなくご相談下さい。

高木 篤 / コンサルティングTOPチーム ― TOBIRA ―

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